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非常用電源は年に一度の点検が法律によって定められています。ここでは点検の必要性について解説します。
消防法では、一年に一度、非常用電源の負荷運転もしくは内部観察などの点検を行うことを義務付けています(消防法、消防予第214号第24-3 総合点検※)。ただし、一定の条件を満たす場合は負荷運転及び内部観察等の点検周期を延長されます。例えば、潤滑油等の交換といった運転の性能を維持するための予防策や保全策を講じる場合は6年に1回です。
非常用電源の設置が義務付けられているのは、延べ床面積1000平米以上かつ、不特定多数の人が行き来するビルや病院など。そのため、多くの施設では非常用電源の点検を定期的に実施する必要があります。
※参照元:(PDF)総務省消防庁「消防法における自家発電設備の位置付け」(https://www.fdma.go.jp/mission/prevention/suisin/items/h30_betten04.pdf)
※2021年4月調査時点
2011年の東日本大震災では設備不良によって正常に作動しなかったケースもありました。※1非常用電源は日頃使用しないことから、メンテナンスを行う以外に正常に作動するかを確認することができません。いざという時に使えるよう、点検はしっかりしておきましょう。
また、点検をしていないことが判明した事業者には、30万以下の罰金もしくは拘留が課せられることもあります(消防法第44条11号※2)。
※1参照元:(PDF)東日本大震災における自家発電設備のメンテナンス不良による不始動・停止台数(https://www.fdma.go.jp/mission/prevention/suisin/items/h30_betten05.pdf)
※2参照元:(PDF)日本消防設備安全センター「消防法の命令違反概要・罰則規定一覧」(https://www.fesc.or.jp/ihanzesei/data/pdf/batsukitei.pdf)
※2021年4月調査時点
非常用電源が作動しない原因にはいくつか理由が考えられますが、よく見られるのはバッテリーの電圧不足や、充電器の故障です。また起動直後に異常停止してしまう場合は潤滑油の油圧低下や冷却水温の上昇が考えられます。オイルや冷却水を長期間交換しないことも正常に運転しない原因になるのです。
さらに、燃料やカーボンが排気管やマフラーに溜まることで、作動時に発火してしまう可能性もなくはありません。作動しないだけでなく二次災害の原因になってしまってはまったく意味がないため、定期点検は必ず行うようにしましょう。
メンテナンスを怠ると万が一の際に使えないだけでなく、違法扱いとなり罰金や拘留の可能性もあります。しかし、やり方がわからなかったり、点検装置の導入にコストがかかったりすることから、メンテナンスに踏み切れない事業者もいることでしょう。
非常用電源のメンテナンスを専門に行っている会社も存在するため、自社で対応できない場合に相談するのも有効です。これから非常用電源の導入を検討している事業者は、どこに点検を依頼するかもあわせて検討しておくことをおすすめします。