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非常用電源は消防法や建築基準法などによって設置が定められています。病院の規模や用途によっても必要な電源が異なるため、非常用電源の種類なども交えて解説します。
非常用電源の設置は、消防法と建築基準法の2つによって定められています。
消防法では、防煙設備、消火栓、スプリンクラーなどの特定防火対象物において、非常用電源の設置が必須とされています。建築基準法では、非常用照明の設置が義務付けられており、かつ、照明も途絶えないようにしなけれないけません。また排煙設備や非常用エレベーターがある場合にも、非常電源の設置が義務付けられています。
このように、病院では非常用電源を必ず設置しなければならず、何らかの方法によって非常時にも電気を供給できるすべを確保しておくことが必要です。
非常電源は、以下の3つに分類されます。
このうち、非常用エレベーターや自動火災報知器などには一般非常電源(起動時間約40秒)が、輸液ポンプや心電計には特別非常電源(起動時間約10秒)が使用されます。一方、人口心肺装置や人工呼吸器などの即座に人命に関わるものには、無停電非常電源(UPS)が使用され、無瞬断で機器の使用を継続することが可能です。これらは、日本工業規格であるJIST1022:2018によって安全基準が定められています。
非常用電源を確保するためには、自家発電設備や蓄電池、UPSを備えておく必要があります。中でも昨今メジャーになりつつあるのが、太陽光発電による自家発電設備と、蓄電池です。
これまではディーゼルエンジン型やガスタービン型の自家発電設備が多く導入されてきましたが、これらは燃料切れや環境への負荷など、デメリットもありました。
太陽光発電は燃料の必要がなく、環境にも優しいことが特徴です。また、燃料型とは異なり、非常時以外にも電源として利用することができるため、日頃からメンテナンスを行え、いざというときに作動しないという心配もありません。さらに、太陽光発電で蓄積したエネルギーを蓄電池によって蓄えておくことで、夜間でも電力を供給することが可能となります。
また蓄電池に似たもので、無停電電源装置(UPS)というものもあります。直流電源を蓄えておく蓄電池に対し、交流電源のまま電気を貯蔵することができるため、万が一の際も突然電気がシャットアウトしてしまうリスクを防ぐことができます。病院であれば、安全規格である「UL1778」や「UL60601-1」を取得している医用UPSを使用しましょう。
病院における非常用電源の設置は、消防法や建築基準法によって義務付けられています。自家発電設備や蓄電池、医用UPSなどであらかじめ対策をとっておきましょう。
このサイトでは、病院で使える蓄電池を中心に、17種類の電源装置を紹介しています。いざというときの対策を考えている医療従事者の方は、ぜひ参考にしてみてください。